アパートマンション経営についてのデメリットにもあるように、所有地に借入金で建物を建てる対策は、空室リスクによる高額な借入金の返済のリスクがあります。そのような場合に利用できるのがこの方法です。
「等価交換方式」とは、土地所有者がディベロッパー等と共同で建物を建設する事業方式の一つで、土地所有者は土地を、ディベロッパー等は建物の建設資金をそれぞれ出資し、土地所有者の土地の一部とディベロッパーの建物の一部を等価になるように交換し、双方が土地・建物を所有することにする事業方式です。契約方法により、次の2通りの方法があります。
1.全部譲渡方式
土地所有者はいったん土地全部をディベロッパーに譲渡し、その後、土地所有者が土地付き区分建物の譲渡を受ける方式を全部譲渡方式という。土地所有者が複数の場合、事業を担保するためにこの方式がとられることが多い。
2.部分譲渡方式
土地所有者は土地の一部をディベロッパーに譲渡し、当該金額に相当する部分の建物の譲渡を受ける方式を部分譲渡方式という。税負担は全部譲渡方式に比べ、軽くなることが多い。
土地所有者の等価交換方式のメリットとしては、建設事業費を自分で調達する必要がない点、また、ディベロッパー等の所有する総合的なノウハウを活用することが可能な点、一定の条件により税制の各種特例を適用できる点(所得税、不動産取得税、登録免許税が非課税となる地方公共団体は必ずしもメリットとはならない。)等があります。
一方、ディベロッパー等の側から見ると、一定の条件により税制の各種特例を適用できる点や用地取得のリスク等を軽減できる点等のメリットがあります。この方法は土地の所有者が土地を出し、デベロッパー(開発業者)は建物の建築費を負担し、マンションやビルを建築します。
その後、土地の一部と建物の一部を等価になるように交換し合い、土地については共有持分、建物については個々の部屋で所有する方法です。借入金が発生しないという点でリスクが軽減されます。また等価交換方式を利用する場合、ある一定の条件を備えていれば、譲渡所得への課税繰り延べの特例、買換え特例を利用することができます。
このように等価交換方式は、都市部に土地を所有している人にとっては有利ですが、資産価値のある土地を手放すことやデベロッパー主導の開発になってしまうというデメリットもありますので、パートナー(開発業者)選びは慎重に行う必要があります。
不動産有効活用の手法に、「建設協力金方式」というものがあります。これは、地主がテナントと賃貸借契約を結び、そのテナントから貸与された保証金や建設協力金でテナントの店舗を所有地に建築するという方法です。
幹線道路沿いのスーパーやレストラン、コンビニといった店舗の多くは、建設協力金方式により出店しています。
テナント(借家人)が建設協力金を(保証金及び敷金として)差し入れ、その資金を基に、テナントの希望する建物を建築し、リースします。期間は5年〜20年程度が多いようです。従来ロードサイド店舗の開発として用いられてきましたが、都心の低未利用地でも有効活用としては利用価値があります。
事業用借地に比べると、建物も地主の物になるので、経営リスクは若干高くなりますが、収益(賃料)は借地に比べ多くなります。自己資金が少なくても、賃貸経営ができることが最大のメリットで、期間についても事業用借地では(10年以上20年以下と)定めがありますが、定期借家にすれば双方の合意により長期、短期に設定できます。
以上のようなメリットのある建設協力金方式ですが、テナントの中途撤退リスクにも対応しておく必要があります。テナントからの建設協力金(預かり金)で建築した店舗をテナントに賃貸し、テナント家賃と預かり金とを相殺していくものですので、通常は厳しい解約条項があるはずですが、たとえ条件付きであってもテナントから解約可となっていると大変です。
テナント撤退により、転用困難な店舗と建設協力金返済義務だけが残ります。このリスクへの対応策としては、賃貸借契約上で中途撤退時のペナルティー条項(できれば建設協力金等の全額没収)を明記することなどが必要です。
定期借地権は、平成4年8月1日新借地借家法により施行されたもので、丁度10年が経過しました。当初は、制度そのものを疑問視する意見もありましたが、全国的な実績をみると、徐々に一般的な制度として根付いてきたようです。
金対策になります | 税金面では、固定資産税が1/6、都市計画税は1/3に減額されます。また相続税対策と しても、有効です。 |
資金が不要 | 建物を建てるのは、当然ながら借主の負担ですから資金負担はありません。 |
経営・管理が簡単 | 建物の管理は借主が行いますので、必要なのは地代の入金管理のみです。 |
土地を売却する必要がない | 50年後には、更地になって戻ってきます。 |
安定収入が可能 | 毎月の地代収入は安定しています。 |
保証金がもらえる | 無税の一時金(保証金)が手に入る |
また、アパート経営との複合活用や事業用借地権との組み合わせなど、定借のパターンに広がりが出てきたことも、定借住宅が順調な伸びをみせている大きな要因となっているよです。さらに広い土地を活用して、景観や街並みを考慮した環境重視の街づくりも可能で、価値が上がり、土地オーナーは、高い資産を保有する事になる。定借では、まとまった街並みを形成することもできる。と言われています。
「土地信託方式」は、土地所有者(委託者)が、土地の有効活用を図るため、所有土地を信託銀行(受託者)に信託し、信託銀行が信託契約の定めに従って、土地所有者に代わって土地の有効活用のための企画立案、建築資金の調達、建物建設の管理・運営等を行い、その利益を信託配当として、土地所有者(委託者兼受益者)に交付する制度です。
土地信託方式は大きく分けて、賃貸型土地信託と処分型土地信託があります。
「賃貸型土地信託」とは、信託財産を受けた土地の上に建物を建設し、長期間にわたり不動産の賃貸事業を行う信託のことをいいます。土地の所有権はいったん信託銀行に所有権移転(信託登記)されますが、信託終了時には現状のまま信託財産が受益者に返却されます。
土地の所有者は、信託銀行の開発事業、テナント誘致等に対するノウハウや信用力を活用することにより土地を手放すことなく有効活用を図ることができ、その利益を信託配当として受け取ることができます。土地所有者に資金力がなくとも、信託銀行が事業資金を調達することになるため、資金調達が比較的行いやすい方式です。
1.土地を処分(売却)することなく有効活用が図れ、事業による安定した収入が得
られる。
2.信託期間の終了時には土地・建物がそのまま返却される。
3.事業に必要な資金は信託銀行が調達してくれる。
4.信託銀行が土地所有者に代わって煩雑な開発手続、建物の工事発注,テナントの募集及び管理等を行ってくれる。
「処分型土地信託」とは、最終的に土地の処分(売却)を行う方式の土地信託であり、信託財産である土地の上に信託銀行(受託者)が商業業務施設及び分譲マンション等の建設を行い、その土地・建物を売却することです。
土地をそのまま処分(売却)するのに比べ、土地所有者は開発利益が付加された処分益を得ることができます。賃貸型土地信託とは異なり、土地・建物の所有権は売却と同時に購入者に移転し、その売却代金から信託報酬を差し引いた額が信託銀行(受託者)より受益者に支払われます。