相続対策の3本柱である「相続税の対策」「納税資金の対策」「争族対策」はどれも重要ですが、その中でも特に重要なのが争族対策だと思います。いくら事前に相続税対策を行って、財産をたくさん残しても、財産を巡って争いとなってしまっては、元も子もありません。
相続が起きたときの一番悲しい出来事は、残された相続人である妻や子供たちの間で争いが起きることではないでしょうか。「親が死ぬと兄弟仲が悪くなる」という例を、あなたも見聞きしたことがあると思います。相続がきっかけとなって、文字通り「兄弟は他人の始まり」になるケースは少なくありません。
争族(遺産争い)が起こってしまうと、元の兄弟姉妹関係、親子関係に戻ることはなく、親の命日に集まることもなくなり、親の墓参りに来る子すらいなくなることも少なくありません。そんな悲しい思いはしたくないし、させたくないものです。
また遺産争いをしていると、相続人が不幸になるばかりでなく、相続税法の最大の特典である小規模宅地の評価減と配偶者の税額軽減も使えなくなり、相続税も高くなってしまいます。
争族対策としては、やはり遺言(書)の活用が最も効果がありますが、合わせて分割用財産を確保しておくなどの対策をしておくことにより、遺産分割も容易になります。分割できる財産がない時は、生命保険を活用し、生命保険金を分割財産にあてることも可能です。