わが国の相続制度は、遺言による相続と法定相続による相続との二本立てを取っています。そして被相続人の死後に遺言書が発見されれば、法定相続に優先して、遺言書に書かれた内容にしたがって相続が行われます。
遺言は、被相続人が自分が死んだ後の財産処分や身分関係の処理を託すものです。その中で、自分の所有する財産を遺言による贈与の方法として、自分が死んだあとに思いどおりに処分するのを「遺贈」と言い、個別具体的に財産を贈与する方法と相続分を指定する方法とがあります。
遺贈を受ける者を「受遺者」と呼びます。受遺者が「いらない」と遺贈を拒否することは自由です。それに対して、自分の死後に財産を贈与する旨を生前に契約をすることもできます。これを「死因贈与」といい、この場合には受贈者の承諾が必要です。「死因贈与」は一種の契約です。相手方との意思の合致により贈与されます。その贈与の効力は贈与者の死亡のときから生じます。贈与の一種ではありますが贈与税ではなく相続税が課せられます。遺贈の場合、当然、法定相続分とは異なる指定がなされるわけですが、特定の相続人の持つ遺留分を侵害したときに問題となります。
「遺贈」とは、遺言によって財産を特定の人に無償で与えることで、遺言で、もっとも重要なことです。遺贈の相手は相続人でも相続人以外の者でもかまいません。遺言は遺言者の一方的行為であるため、受遺者(遺贈を受ける者)は、もらいたくなければ、相続開始後に放棄することができます。
「甲に○○に所在の土地地積△△uを遺贈する」というように、遺贈するものを明確に特定し、誰でも解るように記載することです。
不動産 | 登記簿謄本に記載されている通り |
預貯金 | 金融機関名・種類・名義・金額などを詳しく |
株 式 | 銘柄、株数 |
「遺産を1/3の割合で取得させる。」というように、遺贈する財産を割合で遺贈する方法です。具体的な財産を取得するには、相続人と遺産分割協議をしなければなりません。そのため、受遺者が法定相続人でなく、相続人より弱い立場にある場合や、反感を招く立場の場合は、「特定遺贈」にしておいた方がもめることが少なくなります。
例えば「左記土地を長男甲に遺贈する。ただし、甲は次男乙に対し、今後壱拾五年間毎月金拾万円を与えなければならない。」というように、一定の義務を付けた遺贈です。もちろん、受遺者がその負担がいやなら放棄は自由にできます。
被相続人の意思は尊重しなければなりませんが、必ずしも遺言の指示通りに分けなければならないという決まりはありません。相続人全員で話し合い、合意ができれば、被相続人の遺言内容と異なる遺産分割をすることは一向にかまいません。
相続は、何をするでもなく被相続人(亡くなった方)の財産を全て譲り受けることを指します。プラスの財産はもちろん、借金などマイナスの財産も譲り受けるのです。これに対し、遺贈は相続人以外の人に対して財産を分け与えたいときに、遺言書にその旨を記載することによって財産を譲り渡すことを指します。
被相続人の死亡後、相続人以外の人で遺言書に財産分与の記載がされていない場合、基本的には財産を譲り受けることはできません。 いくら生前に財産を分与すると言われていたとしても、証拠がない以上、相続人以外の人が財産を受け取ることは難しいのです。
もちろん、遺言書で 『○○○○に遺贈する。』 と記載していても無効にはなりませんが、不動産の分与の場合、相続人に対しては 『相続人○○○○に相続させる。』 と記載していた方が登録免許税が安くなります。仮に同じ内容であったとしても 『遺贈させる』 と記載した方が登録免許税が高くなります。
H15年4月1日 〜H18年3月31日まで |
H18年4月1日〜 | |
贈与・遺贈 | 1.0% | 2.0% |
相 続 | 0.2% | 0.4% |