基礎控除額以下の金額を子や配偶者(相続人)に贈与して、そのお金で自分(被相続人)に生命保険を掛けてもらうという方法で節税することも可能です。
贈与税の非課税枠(基礎控除額110万円)を利用し、被相続人が保険料を妻や子供に贈与して、これを資金として、妻や子供が自分を受取人として保険料を支払えば、贈与した被相続人が死亡しても、受け取った保険金については相続税は課されません。ただ、所得税と住民税は、課税されますが、高額になることはありません。
※贈与の基礎控除による節税は、税務署側では、妻や子供から保険料の支払資金は親等からの贈与資金を充てた旨の主張があった場合は、事実関係を検討の上、贈与の事実が認定できなければなりませんので以下のような注意点があります。
1.毎年の贈与契約書を取り交わしていること
但し、毎年贈与するたびにあらたな贈与契約を結ぶなど、定期贈与契約とみなされないように気をつける。
2.贈与額が110万円以上のときは、毎年贈与税の申告書を提出していること
3.生命保険料については、親の生命保険料控除としていないこと
4.親が子供等の預金口座に現金を振込み、その口座から保険料を支出する等贈与事実の心証が得られるものは、税務署もこれを認めることにしているようです。
贈与についての根拠:事務連絡(昭和58年9月)
1. 被相続人の死亡又は生命保険契約の満期により保険金等を取得した場合、もしくは保険事故は発生していないが保険料の負担者が死亡した場合において、当該生命保険金又は当該生命保険契約に関する権利の課税に当たっては、それぞれ保険科の負担者からそれらを相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなして、相続税又は贈与税を課税することとしている(相法3(1)一、三、5)。
※生命保険金を受け取った者が保険料を負担している場合には、所得税(一時所得又は雑所得)が課税される。
2. 生命保険契約の締結にあたっては、生計を維持している父親等が契約者となり、被保険者は父親等、受取人は子供等としてその保険料の支払いは父親等が負担している、というのが通例である。このような場合には、保険料の支払いについて、父親等と子供等との間に贈与関係は生じないとして、相続税法の規定に基づき、保険事故発生時を課税時期としてとらえ、保険金を受け取った子供等に対して相続税又は贈与税を課税することとしている。
3. ところが、最近、保険料支払能力のない子供等を契約者および受取人とした生命保険契約を父親等が締結し、その支払保険料については、父親等が子供等に現金を贈与し、その現金を保険料の支払いに充てるという事例が見受けられるようになった。
4. この場合の支払保険料の負担者の判定については、過去の保険料の支払資金は父親等から贈与を受けた現金を充てていた旨、子供等(納税者)から主張があった場合は、事実関係を検討の上、例えば、(1)毎年の贈与契約書、(2)過去の贈与税申告書、(3)所得税の確定申告等における生命保険料控除の状況、(4)その他贈与の事実が認定できるものなどから贈与事実の心証が得られたものは、これを認めることとする。
相続財産が自宅だけで現預金はあまりないと言った場合に、複数の相続人がいると自宅を分割するわけにもいかず、遺産分割でもめてしまう場合があります。
こういう場合には、不動産は遺言で一人に遺贈し、他の人を生命保険の受取人に指定して、その死亡保険金を与えるようにします。(但し、保険金額は遺留分の額以上にしておく)
商売をしていて、相続が発生し遺産分割すると商売ができなくなってしまういった場合などに、「代償分割」という方法が使われることがあります。
「代償分割」とは、相続人の一人が財産を受ける代わりに、他の相続人には相当の金銭や別の資産を、その代償として支払うというものです。
この代償分割の支払いのための資金を生命保険で準備することもできます。
財産を受ける人を死亡保険金受取人に指定しておくことにより、受け取った保険金を他の人に支払うことができるようになります。