1. 住宅取得資金を贈与する場合に、住宅取得資金に係る「相続時精算課税制度の特例」を受けると、3,500万円まで、贈与税が非課税となります。
2. 住宅取得資金に係る「相続時精算課税制度の特例」を受けるためには、相続時精算課税制度」を選択することが必要です。
3. 住宅取得資金の贈与の場合には、65歳未満の親からの贈与についても「相続時精算課税制度」を選択できます。
「住宅取得資金」とは、次の住宅用家屋の新築、購入又は増改築等の支払いに充てるための資金をいいます。
1. 住宅用家屋の新築
2. 新築住宅用家屋及びその敷地の購入
3. 次の中古住宅用家屋及びその敷地の購入
a. マンション等の耐火建築物は築後25年以内
b. 耐火建築物以外のものは築後20年以内
4. 次の住宅用家屋の増改築・リフォーム及び同時に購入する敷地
a. 増改築後の床面積50u以上で、
b. かつ、工事費用100万円以上のもの
1.住宅取得資金に係る「相続時精算課税制度の特例」は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間の贈与により取得する金銭についてのみ適用されます。
2.従来の住宅取得資金の贈与の特例(5分5乗)は、平成17年12月31日までの間、経過措置として存続されます。
3.上記の2の経過措置の適用を受けた場合には、その適用年分以後5年間は、「相続時精算課税制度」は、選択できません。
父母や祖父母から、平成17年12月31日までに住宅取得資金又は住宅増改築資金の贈与を受けた場合には、1,500万円までの部分について贈与税の軽減を受けることができます。この特例の適用を受けると、550万円までの住宅取得資金等の贈与には、贈与税がかかりません。
※贈与金額を5分の1にして税額を計算し、その税額を5倍して納税額を算出する方式(5分5乗方式)を採っています。
550万円÷5−110万円(基礎控除)=0円
この場合の贈与税額は0円になります。
1,500万円÷5−110万円(基礎控除)=190万円(課税価格)
190万円×10%(税率)×5=95万円(贈与税額)
この場合の贈与税額は95万円になります。
1. 特例が適用される部分(1,500万円)の贈与税額を計算する。
1,500万円÷5−110万円(基礎控除)=190万円(課税価格)
190万円×10%(税率)×5=95万円(贈与税額)
2. 特例が適用されない部分(500万円)の贈与税額を次のように計算する。
a. 特例が適用されない金額+特例適用金額÷5−基礎控除額
=500万円+1,500万円÷5−110万円=690万円
b. a.の金額の贈与税額を計算する。
690万円×40%−125万円=151万円
c. b−a÷5
=151万円−95万円÷5=132万円
a+b
=95万円+132万円=227万円
この場合の贈与税額は227万円になります。
この特例の適用を受けるためには、贈与税の申告書に住民票の写しなど一定の書類を添付しなければなりません。なお、相続時精算課税を適用した場合、その贈与者からの贈与については、この特例の適用を受けることはできません。また、平成15年1月1日以後の贈与についてこの特例の適用を受けた場合には、贈与の年以後5年間は、その贈与者からの贈与について相続時精算課税の選択はできません。
1. 住宅取得資金等をもらう時点において、もらう人の住所が日本国内にあること住宅取得資金等をもらう時点において、もらう人の住所が日本国外である場合は、次の要件を満たすことが必要です。
a. 住宅取得資金等をもらう人は、日本国籍を有する者であること
b. 住宅取得資金等をもらう人又はあげる人が、贈与前5年以内に日本国内に住所を有していたこと
2. 住宅取得資金等をもらう人のその年の合計所得金額が1,200万円以下であること
3. 父母又は祖父母からの贈与であること。父母には配偶者の父母は含まれません。しかし、養子縁組がされている場合の養父母は含まれます。
4. 贈与を受ける財産は、自分の居住用の家屋の新築や購入、又は一定の増改築をするための金銭であること。直接家屋の贈与を受けた場合は特例の対象になりません。なお、家屋の敷地の購入資金については、家屋といっしょに購入する場合に限って含めることができ、土地だけを購入する資金は対象になりません。
5. 日本国内にあり、床面積(登記簿上表示される面積)が、50平方メートル以上である家屋であること
6. 購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります
a. マンション等の耐火建築の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること
b. 耐火建築以外の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されものであること
7. 新築又は購入する場合、その贈与を受ける前5年以内に自分又は自分の配偶者の持家に住んだことがないこと。ただし、持家に住んだことがあっても、贈与を受ける年の12月31日までにその持家の譲渡等をしている場合又は贈与を受ける年の翌年中に持家の譲渡等をする見込みであり、かつ、その年の合計所得金額が1,200万円以下である場合は、この要件を満たしていることになります。なお、合計所得金額が1,200万円以下かどうかは,原則として譲渡所得の特別控除前で判定しますが、居住用財産の3,000万円の特別控除の特例を受けているときなどには特別控除後で判定する場合があります。
8. 住宅取得資金等の贈与を受けた年の翌年3月15日までに新築や購入、又は一定の増改築等をした家屋に住むこと又は住むことが確実であること
8. 住宅取得資金等の贈与を受けた年の翌年3月15日までに新築や購入、又は一定の増改築等をした家屋に住むこと又は住むことが確実であること
1.この特例を受けるためには、次の書類を添付して贈与税の申告をすることが必要です。
a.住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算明細書
b.住宅取得資金等の贈与を受けた日の属する年分の給与所得の源泉徴収票など(所得税の確定申告書を提出した人は、その旨を記載した書類)なお、その贈与を受ける前5年以内に自分又は自分の配偶者の持家に住んだことがあり、それを贈与を受ける年の翌年の12月31日までに譲渡をする見込みである場合には、その年の合計所得金額が1,200万円以下であることの証明書の提出が後日必要になります。
c.住宅取得資金の贈与を受ける前5年以内に自分又は自分の配偶者の持家に住んだことがないなどの証明書として、賃貸住宅に居住していた人は賃貸契約書の写し、親の家屋に住んでいた人はその家屋の登記簿謄本等、住宅取得資金の贈与を受ける前5年以内に自分又は自分の配偶者の持家に住んだことがあり、それを贈与を受ける年の12月31日までに譲渡あるいは家屋の滅失をしている場合、又は、贈与を受ける年の翌年の12月31日までに家屋を譲渡する見込みである場合には、譲渡をした事実や相手方を明らかにする書類や譲渡を予定している家屋等の譲渡予定時期や所在場所等の明細を記載した書類。
d.戸籍の謄(抄)本及び戸籍の附票の写し(居住した日以後に作成されたものであり、戸籍の附票の写しについては、新築又は購入した住宅用家屋の所在地がその者の住所として記載されているものに限ります。)
e.新築又は購入した家屋の登記簿謄(抄)本等。なお、住宅増改築資金の贈与を受けた人は,他に別の添付書類が必要となります。詳しくは税務署等にお尋ねください。
この特例を受けた年の翌年以後4年以内に他の贈与を受けた場合の計算は通常の場合と異なり、住宅取得資金等の贈与者が死亡した時で一定の場合を除き、110万円以下の贈与であっても贈与税がかかりますので注意してください。