「みなし相続財産」とは、相続税の手続きにおいては被相続人の財産ではないにも関わらず相続財産として相続税の課税対象となる財産のことです。
被相続人の死亡を原因として相続人に支払われる生命保険金や損害保険金などは、被相続人が生前から持っていた財産ではありませんので、民法上は相続財産として「遺産分割協議」の対象にはなりません。しかし、被相続人が保険料を負担していた契約については、相続税の計算をするときは、相続財産とみなされて相続財産に含めなければなりません。
被相続人の死亡を原因として支払われる退職手当金も同様に「みなし相続財産」となります。
被相続人が死亡する前の3年間で贈与された財産 | 被相続人が死亡する直前に相続人に財産を贈与して節税しようとする行為を防止するための規定になります。その節税行為を防ぐために、被相続人が死亡する3年以内に贈与された財産は相続財産(みなし相続財産)として扱われ、相続税の課税対象になります。 |
生命保険金 | 被相続人が受取人である場合の保険金は被相続人の財産になりますので、当然通常の相続財産になります。しかし、被相続人が死亡する直前に相続人を受取人に変更して相続税を節税しようとする行為を防止するための規定になります。その節税行為を防ぐために、受取人が誰であっても被相続人が掛けていた生命保険は相続財産(みなし相続財産)として扱われ相続税の課税の対象となります。 |
死亡退職金 |
被相続人が受取人である場合の死亡退職金は被相続人の財産になりますので、当然通常の相続財産になります。しかし、被相続人が個人事業などを営んでいた場合に、被相続人が死亡する直前に相続人を受取人に変更して相続税を節税しようとする行為を防止するための規定になります。その節税行為を防ぐために、受取人が誰であっても被相続人の死亡退職金は相続財産(みなし相続財産)として扱われ、相続税の課税対象になります。 |
弔慰金 |
もともと弔慰金は非課税なのですが、非課税であることを利用して多額の弔慰金、葬儀料などが支払われたような節税の行為を防止するための規定です。その節税行為を防ぐために、相続人に対して支払われた多額な弔慰金、葬儀料などは相続財産(みなし相続財産)として扱われ、相続税の課税対象になります。 |
これらは祖先を崇拝するという慣習や国民感情などに配慮して相続税はかかりませんが、金の仏像などを骨董品として持っていた場合には、課税対象となります。
遺族に対するお悔やみとして支給される弔慰金や花輪代などは、その金額が世間一般の常識的な金額の範囲内であれば、相続税はかかりません。しかし「常識的な金額」の判断は大変難しいので相続税法では形式基準として次の金額までは非課税とし、これを超えるものを退職金に含めて課税するという取扱いを定めています。この場合の普通給与とは被相続人の死亡時における賞与以外の給与をいいます。
・業務上の死亡の場合は、普通給与の3年分
・業務上の死亡ではない場合は、普通給与の半年分
上記で述べましたように、生命保険金や退職金も相続財産とみなされますが、そのうちそれぞれ一定の金額までは相続税がかかりません(下記計算式参照)下記の法定相続人の数というのは、相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとして計算します。また、養子の数については「相続人の範囲」をご覧下さい。
・生命保険金・退職金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数
交通事故や飛行機事故で被害者(被相続人)が死亡した場合には、生命保険金や損害保険金の他に損害賠償金が支払われます。 被相続人の事故死を原因として支払われる『損害賠償金』『慰謝料』『逸失利益の補償金』(交通事故にあった被害者が生きていれば、得られていたはずの所得の補償金)などは遺族に対して支払われるものであって相続財産に該当しないことから、一般的には、相続税の課税対象とはなりません。
但し、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、その損害賠償金を受け取らないうちに死亡してしまったという場合は、その損害賠償金を受け取る権利すなわち「債権」は相続財産となります。よってこの場合は、相続税の対象となります。
相続した財産そのものを、相続税の申告書の提出期限までに国・地方公共団体又は特定の公益法人に寄附した場合には、その寄附した財産については相続税はかかりません。ただし特定の公益法人への寄附については下記制限が付けられています。
・既に設立されている公益法人に限ること
・寄附を受けた公益法人は、その財産を2年以内に公益事業の用に供すること
・その寄附によって寄附をした人やその親族の税金が不当に安くならないこと