相続財産とは、故人の残した財産的な権利義務のすべてをいいます。権利とは土地などの不動産、現金や預貯金、動産などのプラスの財産で、義務とは借金などの債務で、マイナスの財産です。
プラスの財産 | マイナスの財産 |
不動産(土地・建物) 宅地・居宅・農地・店舗・貸地など 不動産上の権利 借地権・地上権・定期借地権など その他 株式・ゴルフ会員権・著作権・特許権など 動産 車・家財・骨董品・宝石・貴金属など |
借金 借入金・買掛金・手形債務・振出小切手などの支払債務 公租公課 未払の所得税、住民税、固定資産税など その他 未払費用・未払利息・未払の医療費などの債務 保証債務 預かり敷金・保証金など |
親権や扶養料の請求権、身元保証など、その被相続人のみに帰属する権利・義務は相続財産には含まれません。また、墓地・墓石や仏具などは、承継はしますが、被相続人を含めた祖先を祭るための祭祀具なので相続財産とは認められません。香典や花輪代なども非課税財産とされています。
・墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など
・心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
・相続人が受け取った死亡退職金のうち一定の金額
・相続財産を特定公益信託に支出した場合の額
・公益事業を行うものが取得した財産で、その公益事業に使用することが確実なもの
・相続人が受け取った生命保険金などのうち一定の金額
・相続財産を国や自治体に寄付した場合の寄付財産
・生命保険金の内「500万円×法定相続人」の額まで
・死亡退職金の内「500万円×法定相続人」の額まで
・弔慰金 @業務上の死亡 −普通給与×3年分 A業務上外の死亡−普通給与×6ヶ月分
・債務(借入金、未払い金など) | *相続人や包括受遺者が相続した場合 |
・葬式費用 | *相続人または包括受遺者が負担する場合 |
会社(法人) | 被相続人が会社を経営していたというような場合です。会社(法人)は相続財産にはなりません。会社は株主(あるいは出資者)によって所有されているものなので、被相続人が株式(あるいは出資持分)を所有していたのであれば、株式や出資持分は相続財産なので、そちらを相続することにより会社を相続することと同じような効果があることになります。 |
身分保証 | 被相続人が友人の就職の保証人となっていたというような場合です。身元保証は相続財産ではないので相続人は保証人とはなりません。しかし、具体的に発生した債務、友人が横領していたことが発覚し500万円の損害賠償請求を受けていた場合などは500万円の債務を相続しなければなりません。 |
連帯保証 | 被相続人が友人の借金の連帯保証人となっていたような場合です。債務額がはっきりしているか責任額が決められている場合だと相続財産となり、連帯保証債務を相続しなければなりません。 |
被相続人が借家住まいであった場合 | 借家人としての地位を相続することができます。 |
被相続人が土地を借りていた場合 | 被相続人が土地を借りて建物を建てて住んでいた(この場合の被相続人を借地権者といいます。)というような場合です。この場合は、借地権者としての地位を相続することができます。 |
税法上のみなし相続財産は、遺産分割協議の対象には含まれません。
※民法上の相続財産と税法(相続税法)上の相続税のかかる財産は若干異なる部分があります。
相続人は、相続によって被相続人のすべての財産や権利や義務を受け継ぐことになります。したがって、預貯金、貸付金、有価証券、不動産、貴金属、著作権など金銭に見積もることのできるものすべてが含まれます。
被相続人から、相続開始前3年以内の贈与により取得した財産や、相続時精算課税制度を選択した場合に贈与を受けた財産の価格は、相続税の課税対象となります。