相続とは、亡くなった人の財産上の地位(その者に属していた一切の財産的権利義務)を、家族などの相続人が受け継ぐことをいいます。亡くなった人を「被相続人」財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。なお、失踪宣告を受けた人は死亡したものとみなされますので、死亡した場合と同様に相続を開始します。
民法882条 (相続開始原因) |
相続は、死亡によって開始する。 |
民法30条 (失踪宣告) |
1.不在者の生死が7年間わからないときは、家庭裁判所は利害関係人の請求により、失踪の宣告を為すことができる。 2.戦地に行った者、沈没した船にいた者、生命の危険を伴う災難に遭った者の生死が戦争終了後、沈没後、災難が去った後、1年間不明なときは、前項と同様の措置をとることができる。 |
民法31条 (失踪宣告の効力) |
前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は、失踪から7年目に死亡したものとみなし、前条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者は、危難が去ったときに死亡したものとみなす。 |
民法883条 (相続開始の場所) |
相続は、被相続人の住所において開始する。 |
遺贈とは、遺言によって財産を贈与すること(相続人やその他の人が遺言によって財産を取得すること)をといい、遺言によって財産を与えた人を「遺贈者」、財産をもらった人を「受遺者」といいます。また、遺贈は、包括遺贈と特定遺贈とに分かれており、遺贈は遺留分を害するものであってはいけません。
包括遺贈とは、遺産の全部とか3分の1というように遺産の割合を示して行う遺贈をいい、受遺者は相続人と同じような地位に扱われ、その割合に相当する遺産の権利義務を承継することになります。したがって、プラスの財産だけでなく債務のようなマイナスの財産も引き継がれます。また、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになります。
特定遺贈とは、この不動産、この株式というように特定の財産を指定して行う遺贈をいいます。一般的にはこの方法により遺言することが多いようです。
死因贈与とは、生前に贈与契約をし、その効力が贈与者の死亡により生ずるものをいいます。死因贈与は、贈与者の死亡により効力が生ずる点で遺贈と似ているので、遺贈に関する規定に従うこととされています。ただし、遺贈は遺言という単独行為によって行われるのに対し、死因贈与は当事者間の契約によって成立するところに相違があります。たとえば、「私が死んだら、あなたにこの車をあげます」などの約束がこれにあたりますが、この贈与は、贈与者と受贈者の間で合意が必要となります。
相続 | 遺贈 | 死因贈与 |
相続は何をするでもなく、相続人が、被相続人の死亡により、被相続人の財産を全て譲り受ける | 遺言によって、相続人やその他の人に財産を贈与する | 生前に贈与契約をし、その効力が贈与者の死亡により生ずる(贈与者と受贈者の間で合意が必要) |
原因 | 税率 |
相続 | 0.4% |
贈与・遺贈 | 2.0% |