遊休農地の解消、農地の利用の効率化および高度化の促進を図るため、農地集約対策として、農業を手掛ける企業などに農地を提供しやすくするために、農地保有に係る固定資産税の課税が強化・軽減されます。その概要は、
1.農地が一定の遊休農地に該当した場合には、固定資産税が約1.8倍に
2.農地中間管理機構(農地バンク)へ農地すべてを貸し付けた場合、貸出期間が10年以上15年未満の場合、最初の3年間、15年以上の場合最初の5年間、固定資産税・都市計画税が2分の1に軽減される
1.は遊休農地に係る固定資産税の課税強化策です。
要は「農業委員会の協議勧告を受けた遊休農地について、固定資産税における評価方法の変更を平成29年度から実施する措置を講ずる。」というものです。これにより、対象遊休農地の固定資産税評価額及び税額は改正前の約1.8倍になります。
「農業委員会の協議勧告」とは、農地法に基づく農業委員会による農地中間管理機構の農地中間管理権取得に関する協議の勧告のことです。この協議勧告ですが、農地の利用状況調査、所有者の利用意向調査などを経た勧告であり、現状では遊休農地すべてに出されるものではないと言われています。次に「固定資産税における評価方法の変更」ですが、現状の農地の評価において、正常売買価格に乗じられている割合(平成27年度:0.55)を乗じないこととする等の評価方法の変更とされています。すぐにすべての遊休農地の固定資産税が増税になるというものではありません。平成29年度以降は、この勧告の段階で固定資産税評価額引上げの対象にされることになるとのことです。最終的に勧告に従わないときは、都道府県知事の裁定により、同機構が農地中間管理権を取得できるよう措置されるようです。
2.は軽減措置、農地中間管理機構(農地バンク)のための賃借権等設定に係る2分の1軽減措置です。
1.の遊休農地に係る固定資産税の課税強化については平成29年度から適用されますが、2.の軽減措置については税制改正大綱で「2年間に限り講ずる」とされていますが、1.同様に平成29年度からの適用になるのかは、現段階では明らかにされていません。
これらの課税の強化・軽減は、遊休農地の管理権を農地中間管理機構に集めることを目的としていますので、このような農業の効率化を目的とした、税制面や制度面での補助等は今後も積極的に整備されていくと思われます。
なお、農地中間管理機構(農地バンク)は、各都道府県に設置されている組織で、農業の継続が困難であるなどの理由等で農地を貸したい者から農地を借り受け、農地としての管理を行い、一方で、農地を借りたい新たな担い手に対して、農地を貸し付けることを主な業務としています。
また、遊休農地の利用促進、納税猶予制度の利便性向上の観点から、平成28年度税制改正では、農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直しも盛り込まれています。
動画URL:https://youtu.be/5SF_a4SYwBg?list=PL4SLxb31faRLxSI3i6kO_YWlkkuYeDY8-