人口が減少している日本ですが、いまだに貸家(アパート・マンション)が増えています。すでに地方を中心に空家(室)が増加し、社会問題化しています。
総務省統計局が5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」によると、空き家の数は平成5年で448万戸から平成25年には過去最高の820万戸まで増えました。20年間で1.8倍、全国の住宅の13.5%を占めています。
賃貸や売却用の空き家を除いた“放置された空き家”に該当する「その他の住宅の空家」でみると、平成25年で318万戸。ピンとこないと思いますが、平成27年の埼玉県全体の世帯数が約313万世帯ですから、埼玉県の世帯数を上回る「その他の住宅の空き家」があるわけです。
そんな中、平成27年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行されました
28年度の固定資産税等より、特定空家等として市町村長の「勧告」を受けたものが固定資産税の住宅用地の特例措置の対象外となることは平成27年度の税制改正で決定していましたが、さらに今回の改正では譲渡所得税の空家対策が追加されました。「空き家に係る譲渡所得税の特別控除の特例」です。
相続により取得した被相続人の居住用不動産で相続後に空き家である家屋やその敷地を、一定期間内に売却した場合、譲渡所得から3,000万円まで控除できる特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例)が適用できることになりました。
例)子供が独立して別居、一人暮らしをしていた母親が住んでいた郊外の実家を子供が相続した場合に、これまで実家ということや譲渡税負担のため、売却もできずに放置されていた空き家などの売却が促進される効果が期待できます。
この特例が適用されるためには以下の要件をすべて満たす必要があります。
1.昭和56年5月31日以前に建築された居住用家屋。ただし区分所有建築物(マンション)は除く
2.相続開始の直前まで被相続人の自宅であり、被相続人は一人暮らしだったこと、相続発生により空き家となった
3.その自宅を相続した相続人が、家屋を取り壊して土地を売却、または必要な耐震改修をして家屋または家屋とその敷地の土地を売却する
4.譲渡対価額、売買価格が1億円以下
5.相続時から売却までの間に、事業・貸付・居住として使用されず、売却までずっと空き家状態
6.役所等から要件を満たす証明書などの書類を入手し、確定申告書に添付して申告
7.相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡
例えば、平成28年の4月1日に相続が発生した場合、3年後の12月31日までに譲渡すれば、特例が使えます。なお、本特例の適用期間は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡について適用されます。もちろん、すでに相続(平成25年1月2日以降に発生した相続)で取得済みの居住用家屋も対象となります。
動画URL:https://youtu.be/-kYFMQ00o40?list=PL4SLxb31faRLxSI3i6kO_YWlkkuYeDY8-