2017/05/18

【平成28年度税制改正#2】法人税、法人税率のさらなる引き下げ・課税ベースの拡大【相続対策ch】

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今回の税制改正のポイントは「法人向け減税」です。地方税をあわせた「法人実効税率」がさらに引き下げられます。法人実効税率とは、主に法人税、法人住民税、法人事業税からなる実質的な負担税率のことです。

すでに平成24年から段階的に引き下げられ、現在は32.11%となっていますが、今回の税制改正29.97%、30年度には29.74%に引き下げられます。ただし対象は「資本金1億円超の大企業」です。地主さんが所有する資産管理会社の多くは中小企業、法人ですから対象外です。なお中小法人については、現在の34.33%が平成28年度に33.8%、30年度に33.59%に引き下げられます。中小法人が大企業より税率が高いのは、外形標準課税がかからないためです。もともと中小法人の法人実効税率は優遇されており、課税所得が400万円までは21.4%、400万円超~800万円まで23.2%、そして800万円を超えた部分が34.33%でした。
このように、平成28年度以降もこの軽減税率における法人実効税率はほとんど変わりませんが、国税である法人税部分が、年間800万円超の部分について若干引き下げられますので、課税所得が800万円を超えた部分は少し減税になります。
日本経済の課題は「成長戦略と財政再建の両立」です。減税した分の財源をどこかで相殺する必要がありますので、法人税に限っていうと、会社の規模などに応じて納める「外形標準課税」を拡大することになり、大企業の場合、赤字企業でも課税されるようになりました。また、大法人に係る欠損金繰越控除制度の見直しも行われています。
繰越欠損金の控除限度額は、もともと段階的に引き下げ予定でしたが、平成28年4月から所得金額の65%が60%に、平成29年4月からは所得金額の50%が55%に見直されました。
繰越欠損金の繰越期間も平成29年4月1日から平成30年3月31日の間は現行の10年から9年に短縮となります。
地主さんのように、「当主に不動産収入が集中し、所得税の負担税率が高い」方は、法人で収入を上げ、役員である奥さんや子供などが役員報酬を得ることで所得が分散され、家全体の税負担が軽減される、という形で法人が活用されていましたが、高所得の個人への所得課税や資産家への相続税の負担が増す方向性の現在においては、ますます法人の活用が重要になっています。

動画URL:https://youtu.be/kwxKst3qkZI?list=PL4SLxb31faRLxSI3i6kO_YWlkkuYeDY8-

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