今回の動画は、「底地対策編 #2」の説明で使った金額、数値で、相続対策としての底地の組み換えのメリットについて、具体事例をもとに解説します。
・東京都大田区、路線価が324,000円/㎡(1坪あたり約107万円)
・借地人に貸している底地30坪
地主さんが持っている底地の相続税評価額は路線価の40%なので、1ヵ所あたりの相続税評価額は1,280万円。この底地の地代は1坪あたり600円で、年間の地代収入が216,000円、固定資産税等の費用を引いた純収益は136,000円です。
仮に相続税率が50%とした場合、この底地にかかる相続税は、1,280万円の50%=640万円、この底地にかかる相続税の回収は、640万円÷136,000円=約47年が必要です。実際には、136,000円の純収益に対する所得税等もかかってきますので、所得税等も50%とすれば、倍の期間が必要になりますので、この底地にかかる相続税を回収するには、実に90年以上かかります。
このような、実質的に「不良資産」となる底地を30軒分所有している前提で、組み換え事例を紹介します。実際に近いケースがありました。
1ヵ所の底地の相続税評価額が1,280万円=30ヵ所の合計は3億8,400万円。相続税率が50%とすると、この底地にかかる相続税は1億9,200万円になります。
<底地30ヵ所を一括で売却し、優良不動産に組み換え!>
底地の売却価格は公示価格水準の20%とします。底地の路線価評価額は底地評価40%(4割評価で)の1,280万円、路線価100%評価で3,200万円。公示価格水準では4,000万円です。所有権価格でも4,000万円です。(実勢価格4,500万円程度の前提)
底地の売却価格が公示価格水準の20%とすると、30ヵ所で、30×4,000万円×20%=2億4,000万円。売却手数料や譲渡所得税などを差し引くと、手元に1億8,500万円程度残ります。そのお金で1億7,000万円の賃貸マンションを購入します。底地を別の不動産に組み換えるわけです。
賃貸マンションの純収益(ネット利回り)を4%とすると、1億7,000万円の4%で年間680万円になります。元の底地の純収益は136,000円×30か所で408万円。収益的には1.6倍程度ですが、相続税の負担が大きく下がります。賃貸マンションの相続税評価額は小規模宅地等の評価減後で、約3分の1の5,600万円とします。相続税率が50%の前提なので、相続税は2,800万円です。
元の底地の場合は、相続税評価額が3億8,400万円だったので、相続税は1億9,200万円でした。その差1億6,400万円です。相続税対策としても、大きなメリットがあります。
底地を所有していても底地の収入だけでは相続税が回収できず、持っている価値がありません。仮に相続発生後に売却できて相続税が払えたとしても、その後の収入は一切なくなります。しかし、優良不動産に組み換えることで相続時の負担=相続税が大きく減り、収益性も上がってより多くの資産が残せます。
相続税評価を下げて、収入を上げる。これが底地の一括売却、相続対策としての底地の組み換えのメリットです。
動画URL:https://youtu.be/eRh4z9xPF20?list=PL4SLxb31faRJqLKbkJ433OE50xOh6lzSz