弊社のお客様には地主さんが多く、底地・借地関係の相談や個別の対策対応も多数実績あります。そのたびに「地代の安さ」を実感しています。30坪の土地の地代が、月極駐車場1台分と同じくらい、中には固定資産税程度(坪200円)というケースもありました。
では、地代の妥当額はいくらくらいなのでしょう? 一般的に住宅地の地代は「固定資産税・都市計画税合計額の3倍程度、商業地では5倍程度」がひとつの目安です。しかし地域差もあるので、周辺の実際の地代(周辺相場)が妥当な地代ということになります。
底地を物納する際にも適正額が要求されますが、いくら以上と言った明確な値はなく、地代が周辺相場に比べて著しく低いと物納ができません。弊社のお客様(地主さん)のすべての底地の地代のデータをデータベース化すれば、かなり参考になると思いますが、残念ながらそういう統計データまでは取っていません。
そこで、我々が参考資料としているのが日税不動産鑑定士協会が3年ごとに刊行している『継続地代の実態調べ(最新版は平成27年版)』です。これは東京23区および周辺地域の旧法借地権にかかる継続中の地代事例を収集しています。区ごとの「平均地代」だけでなく、「地代の公租公課に対する倍率」や「地価に対する地代の割合」などのデータもあり、地代の水準を比較できます。ただし区によってはサンプル数が少なく絶対的なものとはいえません。
ちなみに平成27年度版における東京23区における「地代の公租公課に対する倍率」は、平均すると、商業地で4.05倍、住宅地で4.35倍です。住宅地では固定資産税の3倍、商業地では5倍程度という前述の目安に対して、すこし異なる結果です。
・地代の値上げ
周辺相場や固定資産税額に対して地代が低い→値上げをしたい場合、地主さんには非常に根気のいる作業が待っています。基本は「交渉」です。地主さんがいきなり地代の受取を拒否(値上げした地代でなければ受け取らない)しても、法務局に供託されて余計に面倒な事になります。
値上げ交渉がまとまらない場合、まず簡易裁判所に調停の申し立てを行います。調停が不成立となって、はじめて地代増額訴訟(裁判)になり、値上げ判決でようやく値上げができるのです。大変な労力(場合によっては弁護士費用など多額の費用も必要)ですから、安い地代のまま放置されている底地も多く見かけます。しかし、底地を保有し続けるのであれば、固定資産税・都市計画税の合計額の3~5倍の地代にする努力をしなければ、「不良債権」になってしまいます。
動画URL:https://youtu.be/blgd1kTB_Lw?list=PL4SLxb31faRJqLKbkJ433OE50xOh6lzSz