「底地」(借地人に貸している土地)は、多く持つほど地主さんにとって相続対策の大きな課題です。10ヵ所以上の底地(=借地人も10人以上)を持つ地主さんは珍しくなく、100ヵ所以上という方もいます。
底地=収益性が低いことは言うまでもありません。とはいえ「固定資産税額の3倍以上の地代収入」と「固定資産税以外の費用は集金管理費用程度」を考えれば、所有しているだけで不良資産というわけでもありません。問題は「相続税率の高い地主さんに相続が発生」した時です。
まずは底地所有のデメリットとメリットについて挙げておきます。
【デメリット】
1.収益性が低い:エリアによってバラつきがありますが、総じて収益性は低いです。例えば「東京の大田区、地代は約800円/坪」というケース。30坪の土地で得られる収入(地代)はひと月24,000円、年間でも288,000円。月極め駐車場1台分よりは高いものの、土地の時価が4,500万円と仮定すると、対する利回りは0.64%。不動産の利回りとしては非常に低いです。
2.地主の権利が弱い:貸した土地は基本的に「戻ってきません」。契約期間満了後も、合意しない限り自動的に更新されます。とにかく、借地人の権利が借地借家法で強く守られています。例えば借地人が地代の値上げを要求され、以前の地代の受取を地主に拒否されても、借地人は法務局へ供託すれば未納にはなりません。地主が地代を上げるには、まず借地人との交渉を行い、まとまらない場合は簡易裁判所での調停にはじまり、交渉次第では請求訴訟を裁判所に申し立てる必要さえあります。そこで判決を得て、やっと値上げできるのです。
<参考>地代を値上げできる状況
1.土地の租税公課(固定資産税などの土地にかかる税金)の上昇
2.土地価格の上昇その他の経済事情の変動
3.近隣の相場と比べて地代が低いとき です。
3.流通性が低い:更地と比べて、底地は地主さんの権利が弱いため買う人が限られています。急いで売却を焦ると、安く買い叩かれるケースがほとんどです。
【メリット】
固定資産税以外に費用が発生しない:収益性は低いものの地代に変動がない安定収入です。その他、一時金、立て替え承諾料や譲渡承諾料・契約期間満了時に更新料などが入ることもあります。ただし「更新料」は法律的に有効ではなく慣習的なものなので、必ず受け取れるものではありません。
比較してみると、やはり底地の不動産価値としての価値は高くありません。
動画URL:https://youtu.be/OE9VrZUTHTA?list=PL4SLxb31faRJqLKbkJ433OE50xOh6lzSz