2017/05/17

タワーマンション節税の転機〜時価との大幅乖離に課税強化へ〜【相続対策ch】不動産を使った#12

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週刊エコノミスト2015年12月1日
『相続増税の新常識』号の特集“相続増税の落とし穴”の寄稿内容です

・タワーマンションは、なぜ相続税の節税になるのか?
・なぜ「時価」と「相続税評価額」の乖離が大きくなるのか?

相続税の評価上、土地は公示地価に対して8割を目安に設定される「路線価」をもとに評価するため、同額の現金に比べて評価額はもともと低くなります。さらにタワーマンションの土地の時価は公示価格の何倍もする事が多く、時価との乖離は大きくなります。
また、マンションの場合は各戸の区分所有面積に応じて土地の持ち分が決まりますが、タワーマンションは土地面積に対して戸数が多いため、土地の持ち分はそれだけ下がることになります。したがって通常の不動産より土地の相続税評価額と時価は大きく乖離する仕組みになっています。
さらに、建物は固定資産税評価額で評価しますが、同じマンションなら区分所有面積によって評価額が決まり、階数などには関係がありません。しかし、タワーマンションは一般的に上層階ほど価格が高いため、それだけ時価との乖離が大きくなります。

こうした効果が働くことで、時価1億2,000万円のタワーマンション所有で試算すると、相続税評価額は4,000万円と、約3分の1まで圧縮されます。相続税評価額の圧縮効果が相続税額に与える影響は大きいです。
仮に、このタワーマンションを所有していた被相続人にかかる相続税率が40%なら1億2,000万円の現金を相続した時の相続税額は4,800万円(=1億2,000万円×40%)なのに対し、タワーマンションの場合の相続税額は1,600万円(=4,000万円×40%)と、大幅な節税になります。
さらに購入したマンションを賃貸すると、建物は借家評価となり相続税評価額に対して30%の評価減が取れ、土地は貸家建付地評価になるため、地域差はあるものの20%前後の評価減となり、ますます評価の圧縮が可能になります。
さらに、小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)が適用できれば土地の評価額はさらに2分の1となります。

こうした評価方法は国税庁の「財産評価基本通達」で定められ、タワーマンションに限ったものではありません。しかし、国税庁は基本通達の総則6項「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定を根拠に、時価との乖離が著しいものについては課税を強化する方針と発表しました。
今後は相続開始直前の購入や居住実態がないケースなど、租税回避目的が明らかな場合は特に厳しく適用される見通しです。

動画URL:https://youtu.be/E4-WOjOjXXA?list=PL4SLxb31faRICjgteVRC-WIGIeMq5MoCt

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