平成16年10月の最高裁判決で、「相続人間の不公平感を無視できないほどの“特段の事情”がない場合、原則として生命保険金は特別受益の持ち戻しの対象とならない」としました。
・『特段の事情』とは?
最高裁判決後の裁判所審判例を見ると、まず保険金額と遺産総額の比率を基本に、同居の有無などの諸事情を考慮した上で特別受益にあたるか否かの判断をしているようです。さまざまな情報をまとめてみますと(相続人の人数にもよりますが)、「死亡保険金の額が遺産総額の半分程度を超えると、特別受益として持ち戻しの対象となる可能性が高いとされています。
・平成16年の最高裁の判決=「死亡保険金は特別受益とならない事例」
保険金総額:792万円
保険金以外の遺産額(相続税評価額):約6,400万円
保険金は遺産総額の11%程度で、「特別受益とならない」とされています。
また、別の事例で、「妻が取得する死亡保険金の合計額が約5,200万円と高額で、遺産総額の60%を超え、死亡保険金が特別受益となり、持ち戻しの対象となる」とされた判例もあります(平成18年3月27日名古屋高裁)。
この判例では被相続人と妻との婚姻期間が3年と5ヵ月程度であり、これらの事情も判断材料になっているようです。
動画URL:https://youtu.be/wqVnVdgRmtY?list=PL4SLxb31faRKA9ux4FuSh5DNLyTsefD9j