失敗事例の紹介です。
失敗事例1
「平成22年に課税処分された有名なタワーマンションでの相続税節税の失敗事例」
最近は「タワーマンション節税」なる言葉までできるほど、タワーマンションを使った相続対策が浸透しており、警鐘を鳴らす意味も込めてあえて相続対策の失敗事例として取り上げます。
相続発生直前にタワーマンションを購入して相続税の節税を図るも、その後すぐ売却したため国税当局から否認され、不服申立をして争ったが納税者が負けたと言う事案です。
平成19年 7月:被相続人A入院
平成19年 8月:被相続人Aがタワーマンションを2億9300万円で購入(被相続人の意思および
意思能力についても争点となる)
平成19年 9月: 被相続人A死亡(相続開始)
平成19年11月: 相続人B名義に相続登記
平成20年 7月: 相続税申告
平成20年 7月: 相続人Bがタワーマンションを2億8500万円で売却(A氏死亡の約4か月後に
は相続人はマンションの売却を依頼する一般媒介契約を締結)
平成21年 : 税務調査
税務調査の末、マンションの評価額について否認されました。相続人Bは不服申立てをして争いましたが、国税不服審判所は「マンションの相続税評価額は評価基本通達による評価額の約5800万円が合理的ではなく、購入価格の2億9300万円が相当である」として課税処分を受けたと言う事例です。やはり、これもあきらかに“やりすぎ!”です!自ら考えてやったのか、誰かに提案されてやったのかは知りませんが、あまりにも浅はかです。これは、国税不服審判所の判旨の一文ですが、やりすぎると、評価基本通達によらないことが正当として是認されるような特別な事情があると判断され、他の合理的な方式(時価)で評価されてしまいます。
タワーマンションを使った相続対策の失敗事例は税務的な側面からの失敗事例ですが、不動産的側面からの失敗事例も今後増加すると思います。
現在、タワーマンションの販売は好調で完全に高値圏にあります。それでも相続税の節税効果をアピールし、マンションを買わせようとする業者が多々います。中にはキャピタルゲイン(売却益)まで狙えると謳って勧めてきます。確かに都心部のタワーマンションで値上がりしている物件は多いものの、大半は安い時期に購入したり、震災後に値下がりしたところで購入した物件と思われます。
現在、世界的な金余りと円安で外国人も買っており、相続税対策ニーズも強く、かつ建築費も高いという、すべて高くなる条件が揃っているような高値圏でタワーマンションを購入したところで、簡単にキャピタルゲインが取れるほど不動産投資は甘くありません。
「うまい話だが、本当に有効な運用だろうか?」と疑問をお持ちの際は、ぜひ弊社までご相談ください。
動画URL:https://youtu.be/XMmbaqjkw7U?list=PL4SLxb31faRI5SraOEZ4BycpGMjKA_GQp