2017/05/16

相続対策で不動産を使う場合は要注意【相続対策ch】やる必要のない#9

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<不動産を使った相続対策は特に要注意!>

新聞広告などでよく見る、『相続税対策としての“収益不動産対策”のセミナー』。区分所有マンションを売りたい会社が企画しているセミナーなどが多いですね。内容はだいたい想像がつきますが、こうした「うまい話」が並ぶ相続対策の情報には、くれぐれも注意してください。

以前相談を受けたケースでは、この手のセミナーに参加して区分所有マンションを購入したら、次から次に購入を勧められ数年で5戸購入したが、後で家賃が下がり、空室が続き、退去時にはリフォーム費用がかさみ・・・マンションの収入だけでは借入金の返済ができなくなったという顛末です。セミナーを主催する住宅販売会社の基本的な営業手法は、今も昔も変わりません。

かつては所得税の節税といえば医者など高所得者がターゲット、その後は「不労所得、将来の年金代わり」を夢見るサラリーマンもターゲットになり、そして現在は“相続税対策” がブームです。

確かに、いまや相続税を大きく下げることができるのは不動産しかないといっても過言ではありません。実際には違う手法も存在しますが、簡単に相続税評価額を大きく圧縮できるのは不動産です。

“収益不動産対策”のセミナーでは相続税対策として区分所有マンションの購入を勧めてきますが、会社によっては1棟ものの収益不動産の購入も勧めます。

都心の収益不動産や区分所有マンションは、小規模宅地等の特例を前提にすれば、その相続税評価額は購入金額の三分の一以下になります。

「現金7億円で都心の収益不動産を購入」というケースで、仕組みを簡単に説明します。

(借入金で購入しても減額効果は同じ)

時価(7億円)が路線価と固定資産税評価の差で約26%減となり、5億2000万円。
貸家建付地で土地が18%減、建物が貸家評価で30%減になり、合計4億1200万円。

さらに、土地は貸付用の小規模宅地等の特例で50%減となるので、現金7億円が最終的に約1/3の2億4800万円の相続税評価額になります。土地の時価を路線価の2割増しの公示価格水準で計算していますが、現在の不動産市況のように過熱していると物件価格は高くなりますので、相続税評価の減額効果も当然大きくなります。

現在の市況であれば、物件にもよりますが小規模宅地等の特例を適用すれば、おおむね4分の1以下になるのではないでしょうか? 現金をたくさんお持ちの方が現金で収益不動産を購入するなら、不動産収入が大幅に減ったり、不動産の価値が下がっても破産しませんが、世の中で勧められている収益不動産購入の多くは、借入中心の資金計画によるものです。これはアパートや賃貸マンションの建築でも同じです。

現在、相続税対策向けの収益不動産市場は、リーマンショック前の不動産ミニバブル時に匹敵するほど過熱しています。今回の相続税の増税や未曽有の金融緩和による金余り、東京五輪やアベノミクスによるインフレ期待などが相まって、市場は完全に売り手市場です。
投資的観点から言うと、今は“買い時”ではなく、完全に“売り時”でしょう。つまり、お客様に収益物件を勧めるのが非常に難しい時期です。にもかかわらず、世間では不動産を使った相続対策が大ブームです。

相続税対策、節税効果にまどわされず、不動産の価値と将来的な収支見通しを慎重に見定めましょう。不安がある方はぜひ弊社にご相談ください。

動画URL:https://youtu.be/AsDOrg8-aKo?list=PL4SLxb31faRKyDCwrGG2u_2IWVmuYjh1I

 

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