<都心部の自宅、売却しないと相続税を払えない・・・ウソ?ホント?>
~オーバーな情報には要注意!「小規模宅地等の特例」に注目~
家を売らないと相続税が払えない・・・よく聞く言い回しですが、正確には「事前に対策をしておかないと家を売却しないと相続税が払えない場合がありますよ」という意味です。まったくのウソではありませんが、マスコミの取り上げ方はかなりオーバーです。某税理士法人さんがマスコミに情報提供している、駅ごとに[一戸建て+平均的な財産]で試算した相続税額がベースになっているのでしょうが、お父さんの財産をすべて相続したお母さんが亡くなった二次相続の場合で、かつ「小規模宅地等の特例」も使わない、最も相続税額が高くなる試算です。その点についての説明が不十分なので、非常に違和感を覚えます。
雑誌には、こんな極端な記事もありました。四ツ谷の一軒家モデルでは相続税が5,480万円で、『二次相続で自宅売却は避けられず』との見出しが。
しかし、一次相続時の遺産分割の前提条件は雑誌の試算のままでも、二次相続時に小規模宅地等の特例をつかうと、相続税は335万円になります。これならば現金で納税できるでしょう。その差額が5,145万円と知っていれば、誰もが小規模宅地等の特例を使おうと考えるのではないでしょうか?
この試算は、雑誌の前提条件通り、お父さんが亡くなった一次相続時にお母さんが全財産を相続したという前提ですが、仮に一次相続時に母が全財産を相続するのではなく、お母さんが小規模宅地等の特例を使い、自宅だけを相続し、二次相続時にも小規模宅地等の特例を適用すれば、相続税は一次相続税と二次相続税を合わせても140万円程度で済むのです。
遺産分割を工夫して小規模宅地等の特例を活用すれば、雑誌の記事を鵜呑みにして5,480万円の相続税がかかると思っているのが、実際は140万円程度で済みます。
このように、新聞や雑誌の記事(特に見出し)はかなりオーバーな表現をしているケースがありますので、十分注意して読むように心がけて下さい。
動画URL:https://youtu.be/7swZbh6aBxU?list=PL4SLxb31faRKyDCwrGG2u_2IWVmuYjh1I