私は、建築とセットで全てお任せのサブリース(家賃保証)契約は、お勧めしません。現在(2012年時点)問題となっている『○○社のサブリース問題』は別格として、そもそも建築とセットで全てお任せのサブリース(家賃保証)契約は建築会社や管理会社を選ぶ際の競争原理がはたらきません。理想的には、安くて良い建築会社で建築し、良い管理会社でサブリース又は管理してもらう事がオーナーに取って最も収益が高くなります。
お任せサブリースの場合、任せている会社が順調な時は、賃貸経営の苦労はなく毎月家賃が振り込まれますので、確かに楽に賃貸経営ができます。順調な時は一見良さそうに見えます。
先にも、『サブリース(家賃保証)と言う形態は、空室の心配と貸主の手間をサブリース費用(保証料)を払う事により大幅に軽減するもの』と書きましたが、まさしく建築からのお任せサブリースの場合、割高な建築費とサブリース費用他様々な名目の費用で、一定期間の安心と楽(お手軽の賃貸経営)を買っているのです。相当余分なコストを払っていたとしても、当初の契約期間順調に運営してくれるのであれば、それはそれでそれでも良いかもしれません。
今(2012年)、問題となっている○○会社のサブリース家賃の大幅減額要求や契約解除、追加設備負担要求に見られる問題は、多かれ少なかれお任せサブリースで賃貸経営を行っているオーナーにとっては将来的には降りかかってくる問題です。大幅な家賃の減額や追加の設備要求などもなく、安定して運営されている時には気づかないでしょう。サブリース会社が苦しくなった時にこそその会社の正体が現れます。
大家さんの中には、全てお任せのサブリースで、賃貸経営の全てのリスク(手間)を回避できると勘違いされていますが、そもそもサブリース契約において、オーナーさんが回避できるのは、『空室リスク』と『家賃の滞納リスク』と『賃貸管理の手間』であって、『家賃下落のリスク』は回避できません(サブリース契約と賃料減額については、後ほど詳しく解説します)。
逆に、サブリース契約においては、『サブリース会社の倒産リスク』と『家賃の減額請求のリスク』がオーナーにとっての2大リスクとなります。