サブリース(家賃保証)契約と賃料減額請求(値下げ要求)について
「保証」された家賃なのになぜ下げられるのか?
「週間金融財政事情 2012年8月13日号の特集 異変アパート経営」で取り上げられた○○社の大幅なサブリース家賃減額要求は、会社を存続させるためにはオーナーの保証家賃を下げるしかない為、多少の非難は覚悟の上での行為だと思うので、一般のサブリース(家賃保証)契約における賃料減額請求のトラブルとは少し状況(内容)が異なりますが、どちらもサブリース(保証)賃料を下げる際のオーナーとのトラブルに変わりありません。
では、なぜ「保証」された家賃なのになぜ下げられるのかと言うと、結論から言いますと、
サブリース契約であっても、それが建物賃貸借契約である限りは、『借地借家法を適用すべき』と言う一連の最高裁の判決により、例え契約書に「賃料値下げは出来ない」と記載されていても、借地借家法32条の”借賃増減請求権”が優先される。と言う解釈がされるようになったからです。
表面上は、サブリース会社側の勝訴となっていますが、内容を深く読んでみれば、全面的にサブリース会社の主張が認められた訳ではなく、家賃をどこまで引き下げるかについては、借入金返済事情その他様々な事情を考慮しなくてはいけないとし、具体的な賃料については高裁に差し戻され判断がなされています。
平成16年11月8日付最高裁におけるサブリース裁判で、滝井裁判官が補足意見として『家賃減額は、「当初予想収支」を損なわない程度とし』、減額幅については、金利負担や固定資産税負担の減少分とし、賃貸人の当初予想していた利益が確保できる程度とした点は、注目すべき点です。
サブリース裁判の判例については、ホームページなどで検索すれば多く出てきます。
表面上は、サブリース会社の勝訴となっている為、サブリース家賃の減額交渉の際に、強引な交渉をするサブリース会社は、『サブリース家賃の減額請求権は法律で認められているので、裁判しても大家に勝ち目はない』,『家賃減額に応じてもらえなければ、法的手続きを取る』などと、脅しにも近い言葉でオーナーに迫るケースもあります。