被相続人が亡くなり、遺産分割で相続人の間で話合いがつかなない場合や、はじめから相続人の一人が協議に加わろうとせず遺産分割協議ができない場合、家庭裁判所の遺産分割の調停または審判手続を利用することができます。家裁ではまず調停を行いますが、最終的に相続人全員の同意を得る必要があるので、相続人のうちの1人もしくは何人かが話が合わない人だけでなく、他の相続人全員を相手方とし、遺産分割調停事件として申し立てる事になります。調停は相続人どうしだけで話し合いができないような場合に利用するもので、裁判とは別の手続きです。
通常、調停は家事審判官1名と調停委員2名以上の合議制で進められ、当事者間の話し合いによる解決をはかります。家事審判官や調停委員が各相続人の主張や意見を訊きながら、必要に応じて解決案を提示したりアドバイスをして、話し合いでの解決を目指します。内容は相続人全員の合意で成立とし、一方的に強制されることはありません。調停で相続人の意見が一致すれば調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力ですから相続人は必ず従わなければなりません。調停調書の記載に従って分割する事を「調停分割」といいます。
なお、家庭裁判所の調停はあくまで話し合いの場であり法的な争いをするわけではないので、弁護士に依頼する必要はありません。自分で裁判所で意見を主張する人も多くいます。
・遺産分割調停の流れ
家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをすると2~3週間ほどで「遺産分割調停期日のお知らせ」が届きます。約1ヵ月後に第1回目の遺産分割調停が開かれ、その後、1~2ヵ月に1度のペースで遺産分割調停が開かれます。
解決までそれなりに時間がかかってしまう遺産分割調停ですが、東京家庭裁判所では遺産分割調停については1年以内で解決することを目標に、調停の進め方のルールを定めているそうです。おおむね1~2ヵ月に1回のペースなので、大体1年以内、8回目までに調停成立を目標に運営しているようです。
・調停でもまとまらない場合は「審判分割」
調停でも合意が成立しない場合、裁判所の判断によって分割方法を定めてくれるよう申し立て、その審判に従い分割することを「審判分割」といいます。家庭裁判所による一種の裁判です。
裁判所は当事者や利害関係人の言い分を訊き、色々な調査をして具体的な分割方法を決定します。家庭裁判所は必要に応じて遺産の全部または一部について分割を禁止することもできます。
動画URL:https://youtu.be/PIAhfzPScmA?list=PL4SLxb31faRJdr1V3gaOok6VNjjSAMrck