人口減少は土地需要を鈍化させる
人口減少の大きな要因である少子社会は、子供が親と同居して自分たちでは家を建てない、あるいは親元を離れているときは賃貸住宅で過ごし、親の体が弱ったり、相続が起きたときに親の家に入ることが多くなります。一人っ子同士の夫婦であれば、二軒の家を相続することになり、一軒は売却するか賃貸することになるでしょう。いずれにしても、居住用不動産の供給が過剰になることは間違いありません。
企業も、これまで組織のスリム化を進めてきましたが、少子化社会になると、いっそう少人数で業務をこなせるシステムを積極的に導入します。この結果、オフィス需要も減り、事業用不動産も供給過剰になります。
人口減少の影響は、国民にとっては悪いことばかりではありません。ウサギ小屋と揶揄された日本の住宅環境を大きく改善します。
ある試算によると、一人当りの住宅面積は2008年ごろには、フランスやドイツを抜き、40年後にはアメリカも上回るそうです。子供が大きくなっても、より広い家を求めて買い換える必要はなくなります。この点からも、新規住宅需要は減少すると考えられます。